「また空室が埋まらない…」そのお悩み、水回りが原因かもしれません
内見者は来るのに、なかなか決まらない。広告費をかけても問い合わせが少ない。家賃を下げても反応がない──。
そんな空室の悩みを抱えながら、毎月のローン返済と管理費を払い続けている賃貸オーナーさんは、本当に多いと思います。私自身も、不動産会社を経営しながら複数の物件を管理してきた18年間で、何度もそういった局面に直面してきました。
「なぜ決まらないのか」という本当の原因を見つけるのが、空室対策の第一歩です。
2026年の賃貸市場は、大きな変化を迎えています。「良い物件はすぐ埋まり、そうでない物件は長期空室になる」という二極化が、かつてないスピードで進んでいるのです。そして、その分岐点のひとつが「水回り」の状態です。
今日は、水回り施工15年・不動産管理18年の経験から、築古賃貸物件の空室を解消するための水回りリフォームについて、実践的な内容をお伝えします。
問題の本質:入居者が見ているのは「清潔感」と「使いやすさ」
物件探しをする方が内見で最初にチェックするのは、間取りでも日当たりでもありません。実は、キッチンとお風呂場です。
なぜなら、毎日使う場所だからです。食事の準備をするキッチン、一日の疲れを落とすお風呂──。この2か所の印象が良ければ「ここに住みたい」という気持ちが一気に高まり、逆にここで「古さ」「汚れ」「使いにくさ」を感じると、それだけで候補から外れてしまいます。
内見者は物件を「見る」のではなく、そこでの「暮らし」を想像しているのです。
私が管理する物件で、長らく空室が続いていた築28年の2LDKがありました。家賃を5,000円下げても決まらず、広告費を増やしても問い合わせが増えない。そんな状態でした。
内見に立ち会ってみると、お客様の反応は明確でした。浴室に入った瞬間の表情が曇るのです。タイル張りの在来浴室で、目地が黒ずみ、蛇口は古びていて、シャワーのホースは硬化している。清潔に保たれてはいたものの、古さの印象は隠しようがありませんでした。
その後、ユニットバスへの交換を決断しました。結果は、工事完了後1か月半で入居が決まり、しかも家賃を元の金額に戻しても決まったのです。
空室が長引く水回り問題の原因3つ
原因①:在来浴室の「古さ」が第一印象を壊している
1990年代以前に建てられた賃貸物件の多くは、タイル張りの「在来工法」浴室を採用しています。当時は標準的な工法でしたが、現在の入居希望者の目には「古い」「掃除が大変そう」「カビが生えそう」という印象を与えがちです。
実際、私自身も仕事柄さまざまな物件の浴室を見てきましたが、清掃を丁寧にしていても、タイルの目地の黒ずみや、浴槽のコーティング剥がれはどうしても目立ちます。これは掃除の問題ではなく、素材の経年変化による限界なのです。
「きれいにしている」と「きれいに見える」は、まったく別のことです。
原因②:キッチンの「使いにくさ」が生活イメージを下げている
2口コンロのプロパンガス、シンクが狭い、収納が少ない、換気扇が古い──。こうしたキッチンの状態も、入居決定率に大きく影響します。
特に近年は、料理を楽しむ方や自炊をベースにした生活を希望する入居者が増えています。IHコンロや、食洗機対応のシステムキッチンへの交換は、若い世代の入居希望者に強く刺さるポイントです。
また、洗面台の古さも見落とされがちです。鏡が小さい、収納がない、蛇口が古い三つ穴タイプ──。洗面台はリフォームの中では比較的費用が抑えられる部分なのに、放置されている物件が多く、ここを改善するだけで大きく印象が変わります。
原因③:設備の「時代遅れ感」が他物件との競争に負けている
2026年の賃貸市場では、入居希望者が複数の物件を比較検討する際に、インターネット上の写真で第一次選考を行っています。その段階で、水回りの写真が古そうに見えると、そもそも内見の候補にも入らないのです。
私が管理する物件のポータルサイト掲載写真を見直した際、浴室の写真だけ一眼カメラで撮り直しただけで問い合わせ数が1.5倍になったことがあります。それほど、水回りのビジュアルは重要です。
「見た目の古さ」は、値段を下げても補えません。リフォームでしか解決できないのです。
具体的な解決方法:水回りリフォームの優先順位と費用感
最優先:ユニットバスへの交換(費用目安:60〜140万円)
空室対策として最もインパクトが大きいのが、浴室のリフォームです。特に在来浴室からユニットバスへの交換は、費用対効果が非常に高いリフォームです。
費用の目安は、既存がユニットバスの場合は交換費用として60〜100万円程度、在来浴室からの変更は解体・防水処理が加わるため90〜140万円程度が相場です。
ユニットバスの主なメリットは以下の通りです。
- 掃除がしやすい(パネル構造でカビが生えにくい)
- 断熱性が高い(保温浴槽で追い焚き不要のモデルも)
- 見た目が現代的でクリーン
- シャワーヘッドや水栓も最新仕様に
私の経験では、ユニットバス交換後に入居が決まるまでの期間が、平均で2〜3か月短縮される印象があります。月5〜6万円の家賃なら、工事費用を2年以内に回収できる計算になります。
次点:洗面台・キッチンの交換・刷新(費用目安:洗面台15〜30万円、キッチン50〜120万円)
洗面台は比較的安価に交換できる設備です。15〜30万円程度で現代的なものに変えられます。鏡が大きくなり収納も増えるため、「あ、この物件気が利いてる」という印象を与えられます。
キッチンは費用がかかりますが、システムキッチンへの交換はターゲット層を広げる効果があります。特にIHコンロは、電気代節約志向の若い世代に人気です。費用は50〜120万円程度が目安です。
費用を抑えるポイント:補助金の活用を忘れずに
2026年現在、省エネ設備の導入を含む水回りリフォームには、国の補助金制度が活用できる場合があります。「みらいエコ住宅2026事業」では、省エネ設備の導入やバリアフリーリフォームを対象に、40〜100万円の補助が受けられるケースがあります。
補助金を使えば、実質的な自己負担を大幅に抑えることができます。必ず事前に確認してください。
また、リフォーム業者を複数社比較することも重要です。同じ工事内容でも、業者によって30〜50万円の差が出ることは珍しくありません。私自身も、お付き合いのある施工業者さん複数社に見積もりをとる習慣があります。
解決方法のまとめ:優先順位を決めて段階的に投資する
すべてを一度にリフォームする必要はありません。予算と物件の状況に応じて、優先順位をつけて段階的に進めるのが賢い方法です。
以下のような優先順位を参考にしてください。
- 浴室(最優先):入居決定率への影響が最も大きい。在来浴室はユニットバスへ交換。
- 洗面台(次点):比較的安価に印象を変えられる。
- キッチン:費用が大きいが、ターゲット層を拡大できる。
- トイレ:ウォシュレット設置だけでも印象が変わる(5〜15万円程度)。
賃貸経営は長期的な視点が大切です。短期的にリフォーム費用がかかっても、空室期間が短縮されれば、年間収益は改善されます。
「いつかやろう」ではなく、「今やる」判断が、賃貸経営の明暗を分けます。
今日からできる具体的なアクション5つ
①自分の物件の浴室を「入居者目線」で見直す
まず、実際に内見者と同じ目線で自分の物件を見てみましょう。浴室のタイル目地の黒ずみ、浴槽の変色、蛇口の古さ、シャワーホースの状態。「住みたいと思うか?」と自問してみてください。
②ポータルサイトの掲載写真を確認する
インターネット上に掲載されている写真は、見込み入居者が最初に目にするものです。水回りの写真が暗い・古そうに見えるなら、まず写真から改善しましょう。照明を明るくして撮り直すだけでも変わります。
③複数のリフォーム業者に見積もりを依頼する
「リフォームは高そう」と思い込んでいる方が多いですが、まず見積もりをとることが大切です。補助金込みでの費用、工期、回収期間を試算してもらいましょう。
④補助金制度を調べる
国や自治体の補助金は、毎年内容が変わります。2026年に利用できる補助金について、お住まいの自治体窓口やリフォーム業者に確認してみましょう。
⑤管理会社や仲介業者に「決まらない理由」を聞く
内見をした人がなぜ断ったのか、管理会社や仲介業者は把握していることが多いです。「水回りについてコメントはありましたか?」と具体的に聞いてみましょう。改善のヒントが得られます。
まとめ:水回りリフォームは「投資」であり「答え」です
築古賃貸の空室問題は、家賃を下げるだけでは解決しません。入居者が求めているのは「安さ」ではなく「快適さ」と「清潔感」です。
2026年の賃貸市場は二極化が進み、良い物件はすぐに決まり、古い設備のままの物件は長期空室が続くという厳しい現実があります。その差を生み出すのが、水回りの状態なのです。
私自身、これまでの不動産管理の経験の中で、水回りリフォームをきっかけに長期空室が解消された事例を何度も見てきました。費用はかかりますが、それは確実に回収できる「投資」です。
「もう少し様子を見よう」と思っている時間が、最も大きなコストになっています。
ぜひ一歩踏み出して、物件の価値を高める行動を取っていただければと思います。
水回りリフォームの進め方、費用のシミュレーション、補助金の活用方法など、何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。18年の経験から、あなたの物件に合った最適な方法をご提案します。
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