「また内見だけで決まらなかった…」そのお気持ち、よくわかります
「内見には来てくれるのに、なぜか決まらない。」
そんなご相談を、オーナーさんからよくいただきます。チラシも打った、家賃も少し下げた、ポータルサイトにも掲載した。それでも空室が続いている。「自分の物件には何か問題があるのだろうか…」と不安になる気持ち、私も長年この仕事をしていて、何度も目の当たりにしてきました。
答えを先にお伝えすると、「内見で決まらない物件の多くは、水回りの設備に問題がある」のです。
私はユニットバス・キッチン・洗面・トイレの施工を15年間、現場でこなしてきました。そして不動産管理を18年、今は不動産会社を経営しています。両方の現場を知っているからこそ、見えてくることがあります。今日はその経験をもとに、「空室が埋まらない本当の理由」と「今すぐできる解決策」をお伝えします。
問題の本質:家賃でも立地でもなく、「体験」の問題です
空室対策というと、多くのオーナーさんが「まず家賃を下げよう」と考えます。もちろんそれが有効な場合もありますが、実は多くのケースでは家賃が問題ではありません。
内見者が物件を判断するとき、最も印象に残るのは「体験」です。玄関を開けた瞬間の感覚、キッチンに立ったときの感触、お風呂場に入ったときの視覚と嗅覚——。特にユニットバスは「ここで毎日お風呂に入るのか」という想像を最もリアルに引き起こす場所です。
「この浴室なら住みたい」か「この浴室では住めない」か、人は10秒で判断します。
私自身も施工の現場で、リフォーム前後の同じ物件を見続けてきました。設備を刷新した直後から内見者の反応が明らかに変わり、「申し込みます」という言葉が出る確率がぐっと上がる。これは統計ではなく、現場で繰り返し体感してきた事実です。
空室が続く3つの原因
原因① ユニットバスの老朽化が「拒否感」を生んでいる
築15年以上のアパートで最もよく見られるのが、ユニットバスの経年劣化です。黄ばんだ浴槽、カビが染み込んだコーキング、剥がれかけた床パネル、錆びた金属部分——これらは清掃しても改善しません。入居希望者は「いくら掃除しても汚く見える」場所には住もうとしません。
特に20代〜30代の単身者やカップルは、お風呂の写真をSNSに投稿する文化の中で育っています。「見せたくないお風呂」は、それだけで致命的なマイナスポイントになります。
「清潔かどうか」ではなく「キレイに見えるかどうか」が、入居判断の基準になっています。
原因② キッチンと洗面台が「生活の質」を下げている
ユニットバスほど目立たないけれど、実は同じくらい重要なのがキッチンと洗面台です。コンロが1口しかない、シンクが狭い、水栓が古くて使いにくい——これらは「暮らしをイメージしたときの不安」を呼び起こします。
私がこれまで管理してきた物件の中で、キッチンをシステムキッチンに交換した直後に成約したケースは何件もあります。家賃はそのままで、設備だけ変えて空室が解消された事例です。
洗面台も同様です。洗面ボウルが割れていたり、収納がまったくなかったりすると、特に女性の入居希望者には強い拒否感が生まれます。
原因③ 「周辺相場との設備格差」が広がっている
2026年現在、賃貸市場では二極化が鮮明になっています。設備が整った物件は家賃が上がっても埋まる。設備が古い物件は家賃を下げても埋まらない。この格差は年々広がっています。
近隣の競合物件がユニットバスをリフォームし、オートロックを付け、無料Wi-Fiを設置していたとしたら——同じ家賃でも、入居者はそちらを選びます。「うちの物件は築年数が古いから仕方ない」と思っていても、設備を更新することで競争力は十分に取り戻せます。
設備の格差は、じわじわと、しかし確実に空室期間を長引かせます。
解決方法:水回りのリフォームが最もコスパの高い空室対策
「リフォームには大きなお金がかかる」と思われるかもしれません。確かにユニットバスの交換は50万〜90万円程度かかります(工事費込み)。ただ、この費用を「コスト」ではなく「投資」として考えると、見え方が変わります。
たとえば月5万円の賃料の物件が6ヶ月空室のままだと、失う収入は30万円。さらに翌年も空室が続けば60万円になります。一方、ユニットバスを70万円で交換して、翌月に成約・その後5年間安定入居してもらえたなら、回収は十分可能です。
私自身も自分が管理する物件で、築18年のアパートのユニットバスをリクシルのBWシリーズに交換したことがあります。工事期間は2日、費用は諸工事込みで約75万円。翌月の内見でその物件は即決してもらえました。それ以来、その部屋は一度も空室になっていません。
リフォームの優先順位はこの順番で
すべてを一度にリフォームする必要はありません。優先順位をつけて計画的に進めることが重要です。
まず最優先は「ユニットバス」です。内見時の印象に最も影響し、入居判断の決め手になります。次に「キッチン」、そして「洗面台」「トイレ」の順です。照明や壁紙の張り替えも効果的ですが、水回りを後回しにするのは得策ではありません。
また、設備交換と同時に「見せ方」も工夫しましょう。リフォーム後の写真は必ずプロ(または明るい自然光の中で広角レンズ)で撮り直すことをお勧めします。ポータルサイトの写真が古いままでは、内見数自体が増えません。
今日からできる具体的なアクション
「まず何から始めればいいの?」という方に向けて、今すぐできるアクションを3つお伝えします。
1つ目は、「空室物件のユニットバスを自分で内見してみる」ことです。オーナーとして自分の物件のお風呂を、入居希望者の目線で眺めてみてください。「ここに住みたいか」を正直に自問してみると、何を直すべきかが見えてきます。
2つ目は、「近隣の競合物件の写真をポータルサイトで確認する」ことです。同じ家賃帯の物件のお風呂・キッチン写真と比べたとき、自分の物件はどう見えるか。比較することで、リフォームが必要かどうか判断しやすくなります。
3つ目は、「水回りの施工業者に見積もりを依頼する」ことです。「高そう」と思っていた費用が、実際に聞いてみると想定より安い場合も多いです。見積もりは無料でできるケースがほとんどですので、まず現状を把握することから始めてください。
行動しないことのコストは、リフォームのコストより大きくなることがあります。
まとめ:空室を解消する鍵は「水回りの体験」にあります
空室が続いている物件に共通するのは、「内見者が住む自分をイメージできていない」ということです。そして、そのイメージを最も左右するのが水回り——とくにユニットバスの状態です。
家賃を下げる前に、まず設備の状態を見直してみてください。15年間、水回りの施工を現場でやってきた私の経験から言えば、ユニットバスを交換した物件の多くは、短期間で空室が解消されています。設備への投資は、長期的な安定収入につながる、最も確実な空室対策のひとつです。
「うちの物件、どこから手を付ければいいかわからない」「費用対効果を一緒に考えてほしい」「水回り工事の業者を紹介してほしい」など、どんな小さなことでも構いません。
お困りごとのご相談は、こちらからお気軽にどうぞ。現場経験をもとに、あなたの物件に合ったアドバイスをさせていただきます。
