「うちのアパート、なんか最近空室が増えてきたな…」
そうお感じのオーナー様は、少なくないと思います。築年数が経つにつれ、なんとなく入居者が決まりにくくなってきた。家賃を下げても問題が解決しない。そんな悩みをよく聞きます。
実は、空室の本当の原因は「築年数」ではなく「老朽化のほったらかし」にあります。
私は水回りの施工を15年、不動産管理を18年やってきました。現在は不動産会社を経営しています。数百棟の物件を見てきた経験から言うと、築古でも満室の物件はたくさんあります。逆に、築浅でも空室だらけの物件もある。その違いは何か——今日はそこを徹底的にお話しします。
なぜ築古アパートの空室は増えるのか?本質を見よ
多くのオーナー様が「築年数が古いから仕方ない」と諦めています。でも、それは少し違います。
入居希望者が物件を見てまず感じるのは「ここに住んで大丈夫か?」という安心感です。築年数ではなく、「管理されているかどうか」が一瞬で伝わるのです。
廊下の汚れ、錆びた郵便受け、水回りから漂うカビのにおい、ぐらつく扉——これらは「このオーナーは管理をサボっている」というサインとして入居希望者に即座に伝わります。逆に、適切にメンテナンスされた築古物件は「丁寧に管理されている」という安心感を与え、それが入居の決め手になります。
空室が増える3つの本質的な原因
原因①:水回りの劣化を放置している
私が18年間で最もよく見てきた空室の原因は、水回りの劣化です。キッチン、バスルーム、トイレ、洗面台——これらは毎日使う設備であり、入居者の生活満足度に直結します。
私自身も現地調査で「なぜこの物件が埋まらないのか」を確認しに行くと、8割以上のケースで水回りに問題がありました。排水の詰まり、蛇口の水漏れ、シャワーヘッドの老朽化、浴室の黒カビ。これを放置していると、内見した瞬間に「ここには住みたくない」と判断されてしまいます。
水回りは、物件の第一印象を決める最重要ポイントです。特にバスルームとキッチンは、内見者が最も念入りにチェックする場所です。
2026年現在、賃貸物件の修繕費は1戸あたり平均約161万円に達すると言われています(資材高騰・人件費上昇による)。早期に対処すれば安く済む修繕も、放置すれば大規模工事が必要になります。
原因②:建物の外観・共用部の管理が甘い
「入居者の目に触れないから」と、外壁塗装や屋根のメンテナンスを後回しにしているオーナー様は多いです。でも実は、外観は物件の「顔」であり、入居希望者は最初に建物の外を見て判断しています。
外壁のひび割れ、屋根の雨漏り跡、汚れた外廊下、剥がれかけた階段の塗装——これらは「建物が老朽化していて管理がされていない」という強烈なネガティブシグナルです。
共用部の第一印象が悪いと、部屋を内見してもらう前に候補から外されます。内見ゼロでは、どんなに部屋がきれいでも空室は埋まりません。
原因③:設備の陳腐化を放置している
現在の賃貸入居者(特に20代〜40代)は、快適さと利便性に敏感です。宅配ロッカー、オートロック、TVモニター付きインターフォン、高速Wi-Fi環境——これらは「あれば嬉しい」ではなく「なければ検討から外す」レベルになりつつあります。
在宅勤務の普及により、自宅のインターネット環境は特に重要度が増しています。光10Gbpsの高速回線を提供できる物件は、家賃に月3,000〜5,000円のプレミアムが乗ることもあります。
設備の陳腐化は、家賃を下げる前に設備で補う発想の転換が必要です。安易な家賃引き下げは長期的な収益を悪化させます。
今日からできる!老朽化対策5つの鉄則
鉄則①:水回りの現状調査を今すぐ行う
まず自分の物件の水回りの現状を正確に把握してください。空室になっている部屋はもちろん、入居中の部屋についても、退去のたびに必ず専門家の目で水回りをチェックする習慣をつけましょう。
具体的には:排水の流れの確認(詰まり・遅れ)、蛇口・シャワーの水漏れ確認、シール材(コーキング)の劣化確認、給湯器の年式と動作確認、浴室・洗面台の防カビ処理の状態確認——これらを退去後の原状回復と同時に行います。
私の経験上、水回りを適切にリフレッシュするだけで、空室期間が大幅に短縮されるケースは非常に多いです。費用は部分的なリフォームなら10万〜30万円、ユニットバス丸ごと交換でも80万〜150万円程度が相場です。1ヶ月の空室損失(家賃6万円なら年72万円)と比べれば、十分に元が取れる投資です。
鉄則②:外観・共用部の清潔感を最優先で保つ
外壁清掃、廊下の掃き掃除、照明の点灯確認——これらは費用ゼロまたは低コストでできる即効策です。まず「清潔感」の維持を徹底することが、空室対策の基本中の基本です。
私自身も物件を管理する際、月に一度は必ず現地に足を運び、共用部の状態を目で確認しています。管理会社任せにするだけでなく、オーナー自身の目でチェックすることが大切です。オーナーが物件を大切にしている姿勢は、入居者にも必ず伝わります。
鉄則③:リフォームは「入居者視点」で優先順位をつける
「全部新しくしたい」という気持ちはわかります。でも、予算は有限です。投資対効果の高い箇所から優先的にリフォームしましょう。
優先度が高い順に:①水回り(バスルーム・キッチン・トイレ)→②内装(壁紙・床材)→③照明・コンセント→④外観・外壁→⑤設備機器(エアコン・給湯器)が目安です。特に水回りと内装は、費用対効果が最も高い投資です。
築15年以上の物件であれば、ユニットバスの交換は真剣に検討する価値があります。古いタイル張りのお風呂は、どんなに清掃しても「古臭さ」が消えません。ユニットバスへの変更で、一気に物件の印象が変わります。
鉄則④:設備投資で家賃を維持する
空室が続くと「とりあえず家賃を下げよう」となりがちですが、これは長期的には収益悪化につながります。家賃を下げる前に、設備投資で価値を高めることを考えてください。
費用対効果の高い設備投資:宅配ロッカー設置(月1〜2万円のレンタルも可)、TVモニター付きインターフォンへの交換(1戸3〜5万円)、光インターネット引き込み(物件全体で月5,000〜1万円程度の負担)——これらは比較的低コストで物件の競争力を大幅に高めます。
家賃を1,000円下げれば年間12,000円の収入減。同じ費用で設備を充実させれば、家賃は維持できて入居者も喜ぶ。どちらが賢い選択か、答えは明らかです。
鉄則⑤:入居者の声を「先回り」して対応する
クレームが来てから対応するのでは遅すぎます。入居者が不満を感じた時点で、退去の準備が始まっていると思ってください。
入居後6ヶ月、1年、2年のタイミングで「お困りのことはありませんか?」という声かけをする習慣をつけましょう。小さな不満を早期に発見して解決することで、長期入居につながります。入居者の退去を1件防げば、原状回復費・仲介手数料・空室期間の損失など、50万円以上のコストを回避できることもあります。
民法改正(611条)により、設備不具合を放置した場合、入居者から正当に家賃減額を求められるリスクもあります。早期対応は法的リスクの回避にもなります。
よくある失敗パターンと回避法
「安い業者に頼んだら仕上がりが悪く、また同じ箇所が壊れた」——これは非常によくある失敗です。水回りの施工は、安さだけで業者を選ぶと後で高くつきます。適正な技術を持った業者に依頼することが、長期的には安上がりです。
また、「管理会社に全部任せているから大丈夫」と思って現地確認をしないオーナー様も注意が必要です。管理会社はプロですが、物件への熱量はオーナー自身には及びません。定期的な現地確認は、オーナー自身の責任として行ってください。
まとめ:築古でも「管理されている」物件は強い
築年数は関係ありません。管理されているかどうかが、空室率を決める最大の要因です。
今日お伝えした5つの鉄則——①水回りの定期チェック、②共用部の清潔感維持、③優先順位をつけたリフォーム、④設備投資で家賃を守る、⑤入居者への先回り対応——これらを実践することで、築古物件でも入居者に選ばれる物件に変えることができます。
「老朽化は避けられない。でも、放置は選択できる。」適切なメンテナンスと先手の対応が、あなたの資産を守り、長期的な収益を生み出します。
水回りの修繕、設備の老朽化、空室対策でお困りのことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。現場経験を活かして、あなたの物件に最適なアドバイスをいたします。
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