「広告料を上乗せしているのに、内見すら入らない」「家賃を下げたけれど、結局決まらない」──最近、こんなご相談がぐっと増えました。正直に言うと、空室の原因は家賃ではないケースがほとんどです。でも、これは決してオーナーさんのせいではありません。市場のルールが、2026年を境に大きく変わってしまったからです。
私自身も不動産会社を経営し、管理戸数を増やしながら18年間、賃貸市場の浮き沈みを最前線で見てきました。今年に入ってから、「空室期間が去年の倍になった」というご相談を立て続けに受けています。これは偶然ではなく、構造的な変化です。今日はその「本当の原因」と「今日から打てる手」を、誇張せずお話しします。
共感|「下げても決まらない」は、あなただけではありません
「家賃を5,000円下げました。それでも問い合わせがゼロです」。先日、築22年のアパートを所有するオーナーさんから、こんな声をいただきました。お話を伺うと、立地は駅徒歩8分、家賃も近隣より安い。それでも空室が3部屋。眠れない夜が続いていたそうです。
調査によれば、賃貸オーナーの77.5%が空室対策に課題を感じていると報告されています。つまり、悩んでいるのはあなただけではありません。それでも、夜中にスマホでポータルサイトを開いて、自分の物件の閲覧数を確認しては落ち込む──そんな夜を過ごされている方が、本当に多いのです。
「家賃を下げる前に、立ち止まってほしい」──これが、私が一番お伝えしたいことです。
問題の本質|2026年は「二極化」が一気に進む年
2026年の賃貸市場で起きている変化を、一言で表すなら「二極化」です。人気エリアや築浅、設備が整った物件は賃料が上昇し、申込みが殺到する。一方で、築年数が古く、設備が時代遅れの物件は、家賃を下げても決まらない。この差が、今年に入ってからはっきりと、しかも急速に開いています。
面白いのは、これが「立地」だけの問題ではないことです。同じエリア、同じ築年数でも、決まる物件と決まらない物件がはっきり分かれている。違いは何かというと、「入居希望者が今、何を見て物件を選んでいるか」を理解しているかどうか、それだけです。
かつては「駅近・きれい・安い」の三拍子で決まりました。今は違います。スマホで30分かけて100件以上をスクロールする時代。「一目で選ばれる理由」がなければ、内見にすらたどり着けません。家賃を下げても問い合わせが来ないのは、そもそも「比較リスト」に入っていないからなのです。
原因|空室が決まらない3つの本当の理由
原因1:写真とキャッチコピーが「2018年のまま」
ポータルサイトに掲載されている写真を、ぜひ今すぐ確認してください。暗い、狭く見える、生活感のある小物が写り込んでいる、サイズ感が伝わらない──こうした写真は、入居希望者のスワイプを止められません。写真は家賃よりも雄弁です。
私が管理を引き継いだ物件で、家賃も間取りも変えず、写真とキャッチコピーを刷新しただけで、内見数が3倍になった事例があります。原状回復費すらかけていません。「広角レンズで明るく撮り直す」「室内に小物を置いてサイズ感を出す」──たったこれだけのことです。
原因2:水回り設備が「内見の3秒」で見限られている
内見で入居希望者が一番見ている場所はどこか、ご存じですか。キッチンと浴室です。特に女性の入居者は、浴室の扉を開けた3秒で「ここに住むか・住まないか」を決めると言われています。私自身も水回り施工を15年やってきましたが、これは現場感覚と一致します。
古い在来工法の浴室、ピンクや水色の昔のユニットバス、コーキングが黒ずんだ洗面台──これらは、たとえ家賃が安くても「選ばない理由」になります。逆に言えば、ここを直すだけで決まる物件はとても多いのです。
原因3:「募集条件のハードル」が時代に合っていない
「保証人必須」「ペット不可」「楽器不可」「単身者限定」──こうした条件、まだそのままにしていませんか。2026年の入居希望者層は、おひとりさま高齢者、外国人、ペット飼育者、リモートワーカーなど、多様化しています。「ターゲットを絞っているつもりで、市場から自分を外している」オーナーさんが、本当に多いのです。
条件を見直すだけで、いきなり問い合わせが3倍になることも珍しくありません。お金は1円もかかりません。
解決方法|今日から打てる3つの一手
解決1:写真とキャッチコピーを「プロの目」で見直す
管理会社にお願いして、掲載写真とキャッチコピーを今すぐ確認してください。可能であれば、自分でも実際に物件に行き、スマホで明るい時間に撮り直してみてください。「自分が住みたいと思える写真か?」──この問いを、ぜひぶつけてみてください。
キャッチコピーも同じです。「2DK・駅徒歩8分」だけでは、誰の心も動きません。「在宅ワークが捗る独立洋室付き」「猫と暮らせる築古アパート」など、「誰の、どんな生活を支える部屋か」を明確に伝える一文を添えるだけで、反響は変わります。
解決2:水回りは「全部」でなく「印象」を変える
ユニットバスの全交換は60万〜150万円ほどかかります。確かに大きな投資です。ただ、必ずしも全交換が必要とは限りません。「印象を変える」だけなら、もっと安く済みます。
たとえば、浴室のパネル貼り(10万〜20万円)、コーキングの打ち直し(数万円)、シャワーヘッドの交換(数千円)、鏡の張り替え、照明をLEDに変更──こうした「ちょこっとリフォーム」を組み合わせるだけで、内見の印象は大きく変わります。私自身も、現場で「20万円の投資で2万円の家賃アップ」を実現した事例を何度も見てきました。
「全部変える」のではなく、「目につくところを変える」。これが利回りを守る投資の鉄則です。
解決3:募集条件を「足し算」で見直す
「不可」を一つずつ「相談」「条件付き可」に変えていってください。たとえば「ペット不可」を「小型犬・猫1匹まで相談可(敷金1ヶ月追加)」に変えるだけで、対象となる入居希望者は一気に広がります。保証会社の活用、家賃債務保証の必須化など、リスクを抑える仕組みも整っています。
具体アクション|今日からできる3ステップ
ここまで読んでくださったあなたへ、今日から始められる順番をお伝えします。
ステップ1(今日):自分の物件のポータルサイト掲載ページを、入居希望者になったつもりで眺めてみてください。3秒で「ここに住みたい」と思えるか。思えなければ、写真とコピーから手を入れます。
ステップ2(今週中):管理会社と話し合い、水回りの「印象改善リフォーム」の見積もりを取ってみてください。全交換ではなく、5万〜30万円の小さな改善で十分です。
ステップ3(今月中):募集条件を1つだけ、「不可」から「相談」に変えてみてください。たった1つで、市場が広がります。
まとめ|空室は「下げる」ではなく「魅せる」で埋まる
2026年の賃貸市場は、確かに厳しい二極化の時代です。でも、これは「築古オーナーが負ける時代」ではありません。「現場の本質を理解しているオーナーが勝つ時代」です。家賃を下げる前に、写真を変える。設備の全交換ではなく、印象を変える。条件を絞るのではなく、対象を広げる。これだけで、空室は驚くほど埋まります。
私自身、水回り施工15年、不動産管理18年の経験から、断言できることがあります。空室は、必ず原因があります。そして、原因さえ分かれば、必ず手は打てます。夜中にスマホで悩む時間を、ぜひ「次の一手」を考える時間に変えてください。
「自分の物件は、どこから手をつけるべきか分からない」「写真を見てほしい」「水回りの判断に迷っている」──そんな方は、ぜひ一度お話を聞かせてください。物件を拝見し、現場の目線で「本当に効く一手」をお伝えします。
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