そんな悩みを抱えているオーナーさんのお話を聞いていると、共通して出てくるのが「水回りの古さ」の問題です。内見に来たお客さんがユニットバスを見た瞬間に顔が曇る。そういう場面を、私は何十件も目の当たりにしてきました。
私は水回り施工に15年、不動産管理に18年、そして不動産会社を経営して10年以上が経ちます。その経験から言わせていただくと、空室が続いている物件の8割は、水回りに問題を抱えています。賃料を下げても埋まらないのに、水回りをリフォームしたら即決で決まった——そんな事例を数え切れないほど見てきました。
この記事では、賃貸オーナーとして知っておくべき「ユニットバスの交換時期」「交換費用の相場」「費用対効果の考え方」を、現場の実体験をもとに丁寧に解説します。
なぜ今、ユニットバスが空室対策の決め手になっているのか
2026年の賃貸市場は、一見すると活況に見えます。法人需要の増加や人口移動の活発化により、成約件数は前年を上回っています。しかしその裏側では、設備の良い物件とそうでない物件の二極化が急速に進んでいるのです。
入居者の目が肥えている現代、部屋探しのプロセスはほとんどがオンラインから始まります。写真を見て「ここは古そう」と感じたら、内見すらしてもらえない時代です。特に20代〜30代の若い入居者層は、古い設備の物件よりも多少賃料が高くても新しい設備の物件を選ぶ傾向にあります。
競合物件と同じ価格帯で戦うなら、設備で差をつけるしかない。そしてその中でも最も効果が高いのが、浴室(ユニットバス)のリフォームです。キッチンやトイレよりも浴室の印象が入居決定に与える影響は大きく、私の経験では浴室を新しくするだけで問い合わせ数が2〜3倍になった物件もあります。
ユニットバスの寿命と老朽化のサイン
「まだ使えるから大丈夫」と思っているオーナーさんほど、実は損をしていることが多いです。では、ユニットバスはどれくらいで寿命を迎えるのでしょうか。
一般的な耐用年数は15〜25年
ユニットバスの耐用年数は、メーカーや使用状況にもよりますが、一般的に15年〜25年とされています。ただし、これはあくまで「物理的に使える年数」の話。入居者に「選んでもらえる状態」かどうかは別の話です。
私自身が管理してきた物件では、築17年のアパートで「お風呂が古いから内見をやめる」と言われた事例が複数ありました。その物件は賃料を月5,000円下げても空室が続いたのに、ユニットバスを交換した途端に翌月入居が決まりました。賃料を下げ続けるより、一度リフォームした方がトータルコストは低い——これが現場で学んだ真実です。
交換を検討すべき3つのサイン
① カビや汚れが取れなくなってきた
浴槽や壁のコーキング部分に黒カビが根付き、どんなに清掃してもすぐ再発する状態は、素材自体が劣化しているサインです。内見時に第一印象が悪くなる最大の原因がこれで、入居者が「掃除できない物件だ」と判断してしまいます。
② 浴槽の表面がザラついてきた・色が黄ばんでいる
FRP(繊維強化プラスチック)製の浴槽は、経年でコーティングが剥がれ、ザラつきや黄ばみが生じます。見た目の不潔感だけでなく、汚れが落ちにくくなるため入居者の日常的なストレスにもなります。
③ 排水の流れが悪くなった・水漏れが発生した
排水トラップの老朽化や配管の劣化による水漏れは、修理で対応できる場合もありますが、繰り返す場合は全体交換を検討すべきタイミングです。水漏れを放置すると下の階への影響や建物自体の腐食につながりかねません。
ユニットバス交換の費用相場【2026年版】
「交換費用が怖くて踏み切れない」——よく聞く言葉です。でも、正確な相場を知っていれば、決して怖いものではありません。
賃貸アパート向けユニットバスの交換費用
賃貸用のユニットバス(コンパクトタイプ・1416サイズなど)を交換する場合の費用相場は以下の通りです。
本体価格は15万〜30万円程度、施工費(既存撤去・新設工事)が15万〜30万円程度で、合計50万〜80万円が標準的な費用感です。サイズアップや機能追加(追い焚き機能・浴室乾燥機など)をする場合は100万〜150万円程度になることもあります。
工期は1〜5日程度で完了することが多く、入居者がいる物件でも退去後の原状回復工事と合わせて実施すれば効率的です。
主要メーカーと選び方のポイント
賃貸向けユニットバスの主要メーカーはTOTO・LIXIL・Panasonicの3社です。私の経験では、賃貸専用のベーシックグレードを選べば30万円台から設置できるケースもあります。見た目の清潔感と耐久性を両立させるなら、汚れが付きにくいコーティング加工が施された製品を選ぶのが長持ちのコツです。
私自身が管理物件でよく採用しているのは、表面が滑らかで掃除しやすいLIXILのベーシックシリーズです。入居者からの「お風呂が掃除しやすくて助かる」という声が多く、退去後の清掃コストも下がるため、オーナーとしても管理上のメリットが大きいと感じています。
費用対効果の計算方法——実際に回収できるのか?
「50万〜80万円かけて、本当に元が取れるの?」という疑問は当然です。でも、数字で考えると答えははっきりします。
シミュレーション例:月6万円の賃料の場合
ユニットバス交換費用:60万円
交換により空室が3ヶ月早く埋まると仮定した場合の賃料回収:18万円
賃料を5,000円値上げできた場合の年間増収:6万円
この場合、約7〜8年で費用が回収できる計算になります。さらに空室期間が短縮されることで機会損失が減る効果は、数字以上に大きいものです。
一方、リフォームしないで賃料を5,000円下げた場合、年間で6万円の収入減。10年続けば60万円のマイナスになります。結局、リフォームした方が得だということが多いのです。
補助金・税制の活用も忘れずに
自治体によっては、省エネ設備(浴室乾燥機・節水型浴槽など)への交換で補助金が受けられる場合があります。また、修繕費として計上できる場合は確定申告で節税にもなります。税理士や管理会社に相談して最大限に活用しましょう。
交換を後回しにするとどうなるか——実例で学ぶリスク
「まだ壊れていないから」「入居者が退去してから考えよう」——この考え方が空室期間を長引かせます。
私が以前管理していたある物件では、築22年のユニットバスを「まだ使える」と交換しなかった結果、退去後の次の入居まで8ヶ月かかりました。その間の賃料損失は約48万円。結局リフォームを決意して60万円かけて交換したところ、リフォーム完了から2週間で次の入居者が決まりました。
「交換を先送りにするコスト」は、「今すぐ交換するコスト」を上回ることが多い。
この事実は、15年以上の管理経験を通じて私が何度も実感してきたことです。設備の老朽化は、建物が「選ばれない理由」になるだけでなく、賃料交渉でも弱い立場に立たされます。
交換工事を進める際の注意点
既存住人がいる場合の段取り
現在入居中の場合、退去通知を受けたタイミングで業者に見積もりを依頼し、退去後すぐに工事に入れる体制を整えておきましょう。「退去してから業者を探す」では、2〜3週間のロスが生まれます。
複数見積もりは必須
費用は業者によって大きく差が出ます。最低でも3社から見積もりを取り、内訳を比較しましょう。「安いだけの業者」は施工品質にリスクがある場合があります。実績のある業者を選ぶことが長期的なコスト節約につながります。
サイズ選びに注意
既存のユニットバスのサイズをそのまま確認せずに発注すると、サイズ違いで工事が複雑になりコストが上がることがあります。事前に現地採寸を行い、適切なサイズを選択しましょう。
今日からできる3つのアクション
読んでいただいて「うちの物件も点検が必要かも」と感じた方は、ぜひ今日から以下の3つを実践してみてください。
① 所有物件のユニットバスの築年数を確認する
まず築15年以上の物件は優先的に現状確認を。カビの状況、浴槽の傷み、排水の流れを自分の目でチェックしましょう。
② 空室が続いている物件は内見者の声を集める
仲介業者に「内見者がどこで断った(迷った)か」を聞いてみてください。水回りへの言及があれば、それが明確なシグナルです。
③ 信頼できる施工業者に無料診断を依頼する
多くのリフォーム会社では無料の現地診断を行っています。「交換すべきかどうか」の判断を専門家に委ねることで、感情ではなく事実で判断できます。
まとめ:水回りの投資は、空室対策の最短ルート
ユニットバスの老朽化は、見た目の問題だけにとどまりません。それは「選ばれない物件」になるリスクそのものです。
2026年の賃貸市場では、設備の良い物件と悪い物件の差がますます開いています。今動いておくことが、長期的な賃貸経営の安定につながります。
私が18年間で学んだこと——それは「建物は正直だ」ということ。手をかけた物件は長く愛され、放置した物件は静かに価値を失っていく。ユニットバスの交換は、単なる修繕ではなく、物件への愛情の表れでもあります。
「どこから手をつければいいかわからない」「費用の見当がつかない」そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
水回り施工15年・不動産管理18年の経験を活かして、あなたの物件に合った最適なプランをご提案します。
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