「なんでうちだけ空室が続くんだろう…」そう感じているオーナーさんへ
「広告費を上げた。仲介業者も変えた。でも空室が埋まらない。」
そんな悩みを抱えたオーナーさんが、私のところへ相談に来られます。話を聞いていると、たいていひとつの共通点があります。
水回りが、15年以上前のままなんです。
見た目はまだ使えそうでも、内見に来た入居者候補がお風呂場を見た瞬間に顔が曇る。その場では「検討します」と言って、そのまま音沙汰なし。このパターンを、私は何十回と見てきました。
私自身、水回り施工に15年・不動産管理に18年携わってきました。その経験からはっきり言えます。2026年の賃貸市場で空室を長引かせている最大の原因のひとつは、水回り設備の老朽化です。
今日は、この問題の本質と、具体的な解決策をお伝えします。
問題の本質:「使える」と「選ばれる」は別物
オーナーさんがよく言うのは「まだ壊れてないし、使えるから大丈夫」という言葉です。
でも、入居者が物件を選ぶ基準は「使えるかどうか」ではありません。「他の物件と比べて、ここに住みたいかどうか」なんです。
今の入居者候補——特に20代〜40代——はスマートフォンで何十件もの物件写真を見たうえで内見に来ます。SUUMOやHOME’Sで見慣れたリノベーション済み物件と、築20年そのままの浴室を比べられたとき、後者が選ばれる理由がどれほどあるでしょうか。
「水回りが古い=生活水準が低い」というイメージが、潜在的に入居者の心に刷り込まれてしまっています。これが空室を長引かせている、問題の本質です。
なぜ水回りの老朽化が空室につながるのか?原因3つ
①内見時の第一印象で即アウトになる
不動産業界では「内見の最初の30秒で決まる」とよく言われます。玄関から入ってリビングを見て、そしてお風呂場を見る。このわずか数分の印象が、成約を大きく左右します。
私が管理している物件で以前こんな経験をしました。築22年のアパートで、間取りも立地も悪くないのに3ヶ月空室が続いていた部屋がありました。内見に同行してみると、仲介担当者が浴室のドアを開けた瞬間に「…あ、ユニットバスですね」と一言。それ以降、お客さんの表情が変わっていきました。水回りの古さは、言葉より先に顔に出てしまうのです。
②写真で「検索から外される」リスク
今の部屋探しは、まずネット検索です。SUUMOでは「独立洗面台あり」「バス・トイレ別」などの条件絞り込みがデフォルトで設定されているユーザーが非常に多い。
3点ユニット(バス・トイレ・洗面が一体型)や古いデザインのユニットバスは、写真を見た瞬間にスクロールされて終わりです。内見にすら来てもらえない。空室の問題は、内見数が少ないことから始まっているケースがほとんどです。
③給排水管の劣化が「見えないリスク」になっている
表面だけでなく、内部でも問題が起きています。築15〜20年を超えた物件では、給排水管の劣化が進んでいることが多い。日常の点検では見えない場所なので、オーナーさん自身も気づきにくい。
国土交通省の調査でも、築40年以上のマンションの約4割で適切な大規模修繕が実施できていない可能性が指摘されています。ある日突然、水漏れや排水不良が起きて入居者からクレームが来る——これが最悪のシナリオです。問題が起きてからの修繕は、防いでから直す修繕の何倍もコストがかかります。
解決方法:ユニットバス交換が最もコスパの高い投資
では、具体的に何をすればいいのか。私がオーナーさんに最初に勧めるのは、ユニットバスの丸ごと交換です。
費用の目安
賃貸アパート・マンションでのユニットバス交換費用は、一般的に以下の範囲が相場です。
- シンプルなグレード:70万〜100万円程度
- 標準グレード:100万〜150万円程度
- 機能充実グレード:150万〜250万円程度
「高い!」と感じるかもしれません。でも考えてみてください。月5万円の家賃の部屋が3ヶ月空室なら、それだけで15万円の損失です。1年空室なら60万円。2年なら120万円。リフォームに100万円かけて入居率が改善すれば、2〜3年で回収できる計算になります。
私自身も、管理物件のひとつでユニットバスを120万円かけて交換したことがあります。それまで6ヶ月空室だった部屋が、工事完了後1ヶ月以内に入居が決まりました。さらに家賃も月3,000円アップできました。年間3.6万円の増収で、長期的には十分なリターンでした。
交換と同時にやっておきたいこと
ユニットバスを交換するタイミングで、合わせてやっておくと効果的なのが以下の点です。
洗面台の交換・独立化:3点ユニットを解体して独立洗面台を設置すると、ネット検索での絞り込み条件にヒットするようになります。費用は15万〜30万円程度で、費用対効果が非常に高い。
給排水管の点検・更新:どうせ工事をするなら、壁や床を開けたついでに給排水管の状態を確認してもらいましょう。後から対応するより、大幅にコストを抑えられます。
換気扇の交換:古い換気扇はカビの原因になります。浴室乾燥機付きに変えると、入居者の満足度も大きく上がります。費用は5万〜10万円程度。
進め方:具体的なアクション
ステップ1:まず現状を「数字」で把握する
感覚的に「古いかも」ではなく、数字で確認しましょう。物件の竣工年と設備の交換履歴を確認してください。ユニットバスの交換目安は築15〜20年です。それを超えているなら、早めの対応が必要です。
ステップ2:複数業者から見積もりを取る
水回りリフォームは業者によって価格が大きく変わります。最低でも3社から見積もりを取ることをおすすめします。「安ければいい」ではなく、施工実績・アフターサービス・保証内容を必ず確認してください。賃貸物件は入居者が住んでいる間も使い続けるものですから、施工品質が命です。
ステップ3:空室期間を活用して工事を進める
リフォーム工事は、退去後の空室期間を利用するのがベストです。工事期間は通常3〜5日程度。入居者がいる間はできないので、次の募集をかける前に仕上げてしまいましょう。「きれいにしてから募集する」の順番が、成約率を劇的に変えます。
ステップ4:リフォーム後は写真を必ず撮り直す
せっかくきれいにしても、SUUMOやHOME’Sに掲載されている写真が古いままでは意味がありません。プロのカメラマンに依頼するか、スマートフォンでも明るい時間帯に丁寧に撮影し直してください。写真が変わるだけで、問い合わせ数が大きく変わります。
2026年の賃貸市場で勝つための視点
2026年の賃貸市場は「二極化」が進んでいます。設備投資をして商品力を高めたオーナーの物件は賃料を維持・値上げできる一方、放置した物件は空室率が上がり続けています。
私が管理している物件でも、この差は年々はっきりしています。水回りに投資したオーナーさんの物件は、問い合わせが途絶えることがない。投資を先送りしているオーナーさんの物件は、広告費だけが増えていく。
「まだ使える」から「選ばれる」への発想転換が、今の賃貸経営で最も大切なことだと私は確信しています。
水回りは「コスト」ではなく「投資」です。適切なタイミングで交換することが、長期的な収益を守ることにつながります。
まとめ:今日からできること
まず今日できることを3つだけお伝えします。
①物件の設備交換履歴を確認する:管理会社や工事業者に問い合わせて、ユニットバスの設置年を確認してください。
②空室の内見数・成約率を数字で把握する:月何件の問い合わせがあって、何件が内見し、成約率は何%か。この数字を知ることが改善の第一歩です。
③1社だけでも見積もりを依頼してみる:実際の費用感を知ることで、「やるかやらないか」の判断ができるようになります。
水回りの老朽化による空室問題は、放置すれば必ず悪化します。でも、適切な対応をすれば必ず改善します。私自身、何十件もの物件で見てきた事実です。
「うちの物件も同じ状況かも…」と感じたオーナーさん、ぜひ一度ご相談ください。現状をヒアリングしたうえで、具体的な改善策をご提案します。
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