「また空室が埋まらない…」その悩み、水回りが原因かもしれません
賃貸経営をされているオーナーの方から、こんなご相談をよく受けます。「築20年を超えてから急に空室が増えてきた」「内覧には来てくれるのに、なぜか申込みに至らない」。その言葉を聞くたびに、私はまず「水回りを最近リフォームしましたか?」と聞くようにしています。
不動産管理の現場に18年、水回り施工に15年携わってきた私が断言します。築古物件の空室問題の7割以上は、水回り設備の老朽化が根本原因です。
今の入居希望者は、賃料の安さよりも「清潔に暮らせるか」を重視しています。特に20代〜40代の単身者やカップルは、内覧時に真っ先に浴室・トイレ・キッチンを確認します。ここで「古い」「汚い」と感じた瞬間、その物件は選択肢から外れてしまうのです。
問題の本質:築年数ではなく「設備の印象」が入居を左右する
多くのオーナーさんは「築年数が古いから仕方がない」と諦めています。しかし、これは少し違います。入居者が嫌がるのは「古さ」そのものではなく、「古さからくる不清潔感や不便さ」なのです。
私自身も、築35年の物件を管理した経験があります。外観はかなり古びていましたが、浴室をシステムバスに全面交換し、キッチンを対面式の新品に入れ替えただけで、翌月には満室になりました。外観は一切変えていません。入居者に後から聞くと「中がきれいだったから決めた」とおっしゃっていました。
つまり、勝負は外から見える「築年数」ではなく、内覧で確認できる「水回りの質」なのです。この本質を理解するだけで、空室対策の方向性が大きく変わります。
なぜ水回りが老朽化すると空室になるのか:3つの根本原因
原因① 入居希望者の「清潔基準」が年々高まっている
スマートフォンの普及により、今の賃貸市場では「比較」が当たり前になりました。入居希望者はポータルサイトで何十件もの物件を比較し、写真の段階でかなり絞り込んでから内覧に来ます。
特に水回りの写真は重要です。浴槽に黄ばみがある、シャワーヘッドが古い型、タイル目地に黒カビが見える——これだけで「次の物件へ」とスワイプされてしまいます。写真で清潔感を伝えられない物件は、内覧にすら辿り着けない時代なのです。
原因② 競合物件との「設備格差」が広がり続けている
2010年代から建てられた賃貸物件には、追い焚き機能付きバス・温水洗浄便座・独立洗面台が標準装備されているケースが増えています。一方、築20年以上の物件には3点ユニット(バス・トイレ・洗面が一体型)が多く残っています。
この「設備格差」は賃料格差に直結します。同じエリアで同じ広さでも、バス・トイレ別の物件は3点ユニットより5,000〜15,000円高い賃料でも入居者が付きやすいのが実態です。設備の差は、賃料の差より心理的なハードルとして大きく機能しています。
原因③ 水回り設備は「修繕コスト予感」を入居者に与える
古い水回り設備を見た入居希望者は、無意識のうちに「ここに住んだら排水が詰まりそう」「シャワーがすぐ壊れそう」と感じます。賃貸契約における設備修繕はオーナー負担が基本ですが、入居者は「トラブルの手間」や「生活の不便」を直感的に恐れます。
私自身も施工現場で何度も目にしてきましたが、築20年以上の物件では排水管の油脂詰まり・パッキンの劣化・給湯器の不調が重なって起きることが多いです。「この物件に住んだら、何かと問題が起きそう」という不安感を取り除くことが、内覧から申込みへの最大の壁を越えることになります。
具体的な解決方法:水回りリフォームの優先順位と費用感
最優先:浴室のリフォーム(費用目安:70〜150万円)
内覧で最も「印象」に影響するのが浴室です。特に3点ユニットを1点ユニット(バス・トイレ別)に変更するリフォームは、空室対策として費用対効果が非常に高い選択肢です。
実際の事例として、愛媛県松山市のファミリー向け築30年マンションでは、浴室とキッチンを交換しただけで空室6部屋が工事完成前に全て申込みが入ったというケースもあります。投資回収の目安は3〜5年程度で、リフォーム後の賃料アップ(月5,000〜10,000円)を考えると十分元が取れる投資です。
なお、2026年現在「みらいエコ住宅2026事業」など省エネ設備の導入で最大100万円の補助金が活用できるケースもあるため、リフォーム前に必ず確認することをお勧めします。
次点:トイレのリフォーム(費用目安:15〜30万円)
温水洗浄便座(ウォシュレット)への交換は、コストが比較的低い割に入居者へのアピール力が高いリフォームです。設置費用は機種によっても異なりますが、工事込みで15〜20万円程度からできます。
私が管理している物件でも、トイレを最新型に交換してから「内覧時の反応が明らかに違う」とオーナーさんから報告をいただいています。トイレの清潔感は、入居者が毎日何度も使う場所だけに、印象形成への影響が大きいのです。
並行して:キッチン・洗面台の刷新(費用目安:各20〜50万円)
キッチンは特に女性入居者への訴求力が高い場所です。システムキッチンへの交換や、IHクッキングヒーターへの変更は、単身女性やカップルに非常に効果的です。
洗面台については、独立洗面台がない物件に新設することで、バス・トイレ別と同様の「生活動線の快適さ」をアピールできます。朝の混雑解消につながるため、ファミリー層にも訴求できます。
具体的なアクション:今日からできること5つ
①まず自分の目で水回りを確認する
所有している物件の水回りを、今すぐオーナー自身の目で確認してください。「入居希望者が見る目線」で浴槽の黄ばみ・排水口のにおい・蛇口のサビ・タイルの目地を見てみましょう。気になる箇所が1つでもあれば、入居者も同じように気になっています。
②競合物件の写真と自分の物件を比較する
ポータルサイトで自分の物件と同エリア・同賃料帯の競合物件を探し、浴室・キッチン・トイレの写真を比較してみてください。競合より明らかに古い・暗い・汚く見えるなら、そこが空室の原因です。
③部分的なプチリフォームから始める
一度に全てをリフォームする必要はありません。まずは10万円以下でできる「印象改善」から始めましょう。具体的には、シャワーヘッドの交換(5,000円〜)・蛇口のパッキン交換・浴槽の塗装リペア・換気扇の交換などです。こうした小さな積み重ねでも、内覧時の印象は大きく変わります。
④リフォーム費用と賃料アップ効果を試算する
水回りリフォームは「コスト」ではなく「投資」と考えることが重要です。例えば70万円のユニットバス交換で賃料が月8,000円アップすれば、7年強で元が取れます。さらに入居期間が伸び、仲介手数料・原状回復費用が減ることを考えると、実質的な回収期間はもっと短くなります。
⑤補助金・助成金の情報を収集する
自治体や国の補助金制度は毎年変わります。省エネ設備導入に伴う補助金、バリアフリーリフォームの助成金など、活用できる制度があれば積極的に利用しましょう。リフォーム業者に確認するか、国土交通省・自治体の住宅担当窓口に問い合わせてみてください。
まとめ:「古い物件だから仕方ない」は終わりにしよう
水回りリフォームは、今の賃貸市場において最も投資効率が高い空室対策のひとつです。築年数が何年あっても、水回りが清潔で使いやすければ入居者は必ず付きます。私がこれまで関わってきた数十件のリフォーム事例が、それを証明しています。
大切なのは「いつかやろう」ではなく「今すぐ動く」こと。空室が続く期間は、毎月確実に収益を失い続けています。
「どこからリフォームすればいいかわからない」「予算内でできることを相談したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。現地を拝見した上で、費用対効果の高いリフォームプランをご提案します。
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築古物件の空室でお悩みのオーナー様、まずはお気軽にご連絡ください。水回り施工・不動産管理の両面からトータルでサポートいたします。
