「また空室が続いている…」その原因、ユニットバスかもしれません
「なかなか入居者が決まらない」「仲介業者から『決まりにくい物件』と言われてしまった」——そんなお悩みを抱えている賃貸オーナーの方は、少なくないと思います。
広告費を増やしてみた。家賃を下げてみた。それでも空室が埋まらない。毎月ローンの支払いだけが続いていく。そのプレッシャーは、経営者でないとなかなかわかってもらえないものです。
私自身も、不動産管理の仕事を始めた頃、築20年超のアパートを何棟も抱えてお客様の空室問題に向き合ってきました。そのなかで気づいたのが、「空室の原因の大半は、実は水回り設備の古さにある」という事実でした。
特に今回お伝えしたいのは、「3点ユニットバス」の問題です。これが賃貸市場でどれほど不利な条件になっているか、そしてどう対処すれば空室を解消できるか——具体的にお話しします。
3点ユニットバスとは?なぜ嫌われるのか
3点ユニットバスとは、浴槽・シャワー・洗面台・トイレがすべてひとつの空間に収まった水回り設備のことです。1970年代〜1990年代の賃貸物件に多く見られます。
一時期は「合理的な設計」として普及しましたが、現在の入居希望者からは非常に不人気です。理由は明快で、「お風呂に入るたびにトイレも濡れる」「清潔感がない」「友人を招きにくい」という声が圧倒的に多いのです。
全国賃貸住宅新聞の調査(2022年)では、「この設備がなければ入居が決まらない」ランキングで、単身者向けでは「バス・トイレ別」が上位に入っています。逆に言えば、3点ユニットバスの物件は「最初から候補から外す」入居希望者が大多数という現実があります。
私自身も、仲介業者から「3点ユニットは内見すら来てもらえないケースが増えています」と相談されたことが何度もあります。これは数年前の話ではなく、2026年現在も続いているリアルな状況です。
空室が長引く本当の理由3つ
① インターネット検索で最初から除外される
現在の部屋探しは、ほぼSUUMOやHOMES・athomeといったポータルサイトから始まります。入居希望者は検索条件で「バス・トイレ別」を最初に設定することがほとんどです。つまり、3点ユニットバスの物件は検索結果にすら表示されないのです。
どれだけ立地がよくても、家賃が安くても、「そもそも見てもらえない」という状況では空室は永遠に埋まりません。これが最も根本的な問題です。
② 内見に来ても即座に候補落ちするケースが多い
仮に「バス・トイレ別」の条件を外してくれた入居希望者が内見に来ても、実際に3点ユニットを見た瞬間に「やっぱり無理」と断られるケースが非常に多いです。
私が管理する物件でも、築22年のワンルームアパートで3点ユニットを残していた部屋は、毎回内見後に断られ、年間で6〜7ヶ月の空室が続いていました。月5万円の物件で年間30〜35万円の損失です。
③ 「清潔感のなさ」が写真でも伝わってしまう
現在は物件写真の質が重視されており、360度写真や動画撮影も普及しています。しかし3点ユニットはどれだけきれいに掃除しても、構造的な「古さ」「狭さ」「不衛生なイメージ」が写真に出てしまいます。
「写真で第一印象が決まる時代に、水回りの古さは致命傷になる」——これは私が実際に何十件もの物件を管理して実感してきたことです。
解決方法:水回りリフォームで空室を解消する
選択肢1:3点→2点ユニットバスへの分離工事
最もコストパフォーマンスが高いのが、トイレを外に独立させる「2点ユニットバス化」の工事です。費用は物件の構造によって異なりますが、おおよそ30万〜60万円が相場です。
これだけで「バス・トイレ別」の検索条件に引っかかるようになり、内見数が大きく増えます。私が管理する前述のワンルームアパートでも、この工事後に2週間で入居が決まりました。
選択肢2:ユニットバス丸ごと交換
設備が老朽化している場合や、より競争力を高めたい場合は、ユニットバス本体を新しいものに交換する方法が効果的です。
費用相場は以下の通りです:
- 低〜中グレード(スタンダードモデル):60万〜100万円
- 中〜高グレード(保温浴槽・浴室乾燥機付き):100万〜150万円
- ハイグレード(全自動・デザイン重視):150万〜200万円以上
工事期間は3〜5日程度で、施工中は入居者がいない状態(退去後・リフォーム時)に実施するのが理想的です。
また、2026年現在、「みらいエコ住宅事業」などの補助金制度を活用すれば、省エネ対応の設備を選ぶことで40万〜100万円の補助金が受けられる可能性があります。費用を抑えながら高品質な設備に更新できる絶好のタイミングです。
選択肢3:独立洗面台の後付け設置
ユニットバスを残しつつ、廊下や空きスペースに独立洗面台を後付けする方法もあります。費用は15万〜35万円程度で、女性入居者に特に人気の高い設備です。
全国賃貸住宅新聞の調査でも、「独立洗面台があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」という結果が出ており、設備投資をしながら家賃収入を上げることも可能です。
具体的なアクション:今日からできること
ステップ1:まず自分の物件を「客観的に」見直す
オーナー様はご自分の物件に愛着があるため、どうしても「まだ使える」「きれいにすれば大丈夫」と考えがちです。しかし入居希望者は感情ではなく、「他の物件との比較」で判断します。
SUUMOやHOMESで実際に自分の物件と同じ条件(同エリア・同家賃帯)で検索してみてください。競合物件と比べて、水回りがどれだけ古く見えるかを客観的に確認することが第一歩です。
ステップ2:複数の工務店・リフォーム会社に見積もりを依頼する
水回りリフォームの費用は業者によって大きく異なります。同じ工事内容でも、50万円の差が出ることも珍しくありません。最低3社から見積もりを取り、内容を比較しましょう。
私自身も、最初は「信頼できる1社に任せれば十分」と思っていましたが、複数見積もりを始めてから年間で数百万円のコスト削減に成功しました。「相見積もりは値切り交渉ではなく、適正価格の確認作業」だと考えてください。
ステップ3:補助金・節税の活用を専門家に相談する
リフォーム費用は「修繕費」として費用計上できるものと、「資本的支出」として減価償却するものに分かれます。これを正しく仕分けするだけで、毎年の確定申告で大きな節税効果が生まれます。
また前述の補助金制度は申請期限があり、毎年内容が変わります。不動産管理の専門家や税理士と連携して、最新情報をキャッチアップすることが重要です。
ステップ4:リフォーム後は写真・情報を必ず更新する
せっかく水回りをリフォームしても、ポータルサイトの写真が古いままでは意味がありません。リフォーム完了後は必ずプロカメラマンによる写真撮影を行い、「バス・トイレ別」などの条件も改めて設定し直しましょう。
物件情報の整備は、仲介業者からも「紹介しやすい物件」という印象を与えます。仲介会社に積極的に紹介してもらうことで、空室解消のスピードは大きく変わります。
まとめ:水回りへの投資は「空室ロス」よりも必ず安い
3点ユニットバスが原因の空室は、「家賃を下げる」だけでは根本的に解決しません。むしろ家賃を下げながら空室が続けば、リフォーム費用以上の損失になります。
仮にリフォーム費用が80万円だったとして、それで月5万円の物件に安定的に入居してもらえれば、わずか16ヶ月で回収できます。築古物件でも、水回りさえ現代のニーズに合わせれば、十分に戦える物件になる——これは私が18年の不動産管理経験で確信していることです。
「うちの物件、どこから手をつければいいかわからない」「リフォームの相場が適正かどうか判断できない」そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。現地調査から補助金の確認、工事業者の紹介まで、トータルでサポートいたします。
