「またお風呂のことで入居者から連絡が…」その繰り返し、そろそろ終わりにしませんか
内見のたびに古びたユニットバスを見た申込者の顔が曇る。契約直前で「やっぱりやめます」と言われる。入居中の方からは「お湯の出が悪い」「排水口の臭いが気になる」と月に一度は連絡が来る。心当たりのあるオーナー様、管理会社の担当者様は少なくないはずです。
私自身、不動産管理を18年、水回りの施工を15年続けてくる中で、この「ユニットバス問題」で頭を悩ませるオーナー様を数えきれないほど見てきました。そして多くの場合、問題が表面化してから動き出すのでは、すでに手遅れに近い状態になっていることがほとんどです。
ある築22年の物件では、オーナー様が「まだ入居者からクレームが来ていないから大丈夫」とおっしゃっていましたが、実際に点検すると排水管の内部はすでに腐食が進んでおり、あと数年で漏水事故につながりかねない状態でした。入居者からの声が上がっていないことと、設備が健全であることはまったく別問題なのです。
今日感じているその小さな違和感は、半年後には空室という形で必ず跳ね返ってきます。
問題の本質:「壊れていないから大丈夫」という考え方こそが最大のリスク
ユニットバスのトラブル相談を受けると、多くのオーナー様が口にするのが「まだ壊れていないから」「使えているから」という言葉です。しかし、これは水回り設備において最も危険な発想だと私は考えています。
2026年時点で、全国の賃貸住宅の空室率は約13〜14%、首都圏でも10〜11%が目安とされています。この数字が示しているのは、入居希望者にとって「選択肢が豊富にある」という現実です。ネットのポータルサイトで写真を見比べ、少しでも古い設備が写っていれば候補から外される時代に、私たちは向き合っています。
「壊れていない」ことと「選ばれる」ことは、まったく別の話です。設備が寿命を迎える前の対応こそが、空室対策の本質だと私は現場で学んできました。
根本にあるのは「先送り経営」の積み重ね
表面的には水漏れやカビ、排水不良といった個別のトラブルに見えても、根っこをたどると「修繕を先送りにしてきた経営判断」に行き着くケースがほとんどです。目先の支出を惜しんだ結果、後でより大きな出費とより長い空室期間を招いてしまう。これが水回り設備における典型的な悪循環です。
さらに厄介なのは、この先送りが一室だけの問題では終わらないという点です。同じ築年数・同じ仕様で建てられた物件であれば、他の部屋のユニットバスも同時期に寿命を迎えます。一室のトラブルは、実は建物全体からの警告サインだと捉えるべきなのです。
原因は主に3つあります
原因①:ユニットバスの標準的な寿命への認識不足
ユニットバスの標準的な使用年数は15〜20年程度とされています。給排水管のパッキンやシーリング材はそれよりも早く劣化が始まり、経年によってゴム部分が硬化・変形することで隙間が生まれ、水漏れの原因になります。築年数だけで判断せず、設備単位での劣化状況を把握できていない物件が非常に多いのが実情です。
特に見落とされがちなのが、防水パンの下や壁の内側といった見えない部分の劣化です。表面はきれいに見えても、内部で少しずつ水が浸透し、気づいた時には床材の腐食や下階への漏水にまで発展しているケースを何度も見てきました。
原因②:修繕費用への漠然とした不安
ユニットバスの交換費用は、工事費込みでおおよそ70万〜150万円が相場です。在来工法からの交換であれば60万〜120万円、ユニットバスからユニットバスへの交換なら80万〜90万円程度が目安になります。この金額感を知らないまま「高そうだから」と情報収集すら避けてしまい、結果として判断が遅れるオーナー様を数多く見てきました。
実際には、グレードを抑えたシンプルなユニットバスであれば50万円台から導入できる製品もあり、必ずしも高額な選択肢しかないわけではありません。「知らないから動けない」状態こそが、最も費用対効果を悪化させる要因です。正確な相場観を持つだけで、意思決定のスピードは大きく変わります。
原因③:小さなトラブルへの対処療法どまり
水漏れの多くはパッキンの劣化やナットの緩みが原因で、パッキン交換だけなら3,000円〜5,000円、蛇口周りの修理でも1万〜3万円程度で済むことがほとんどです。しかし、この応急処置を繰り返すだけで根本の給排水管の劣化を放置してしまうと、数年後には配管交換を伴う大規模な工事が必要になり、結果的に費用も工期も膨らんでしまいます。小さな修理の繰り返しは、実は一番高くつく選択かもしれません。
私の経験上、同じ部屋で年に2回以上水回りのトラブル対応が発生している場合は、応急処置の限界を超えているサインです。その段階で部分修理を選び続けるオーナー様と、思い切って設備更新に踏み切るオーナー様とでは、5年後のトータルコストに大きな差が生まれます。
解決方法:「点検→優先順位付け→計画的投資」の3ステップ
私が管理する物件では、水回り設備を次の3ステップで管理するようにしています。
ステップ1:現状把握のための点検
まずはユニットバスの製造年、パッキン・シーリング材の状態、給排水管の水圧や流れをチェックします。目視だけでなく、実際に給湯・排水をさせてみることが重要です。
ステップ2:優先順位付け
すべての設備を一度に交換する必要はありません。空室が出やすい部屋、内見の頻度が高い部屋から優先的に手をつけることで、限られた予算でも効果を最大化できます。
ステップ3:計画的な投資判断
「壊れたら直す」から「壊れる前に計画する」への発想転換です。大規模修繕の一環として数年単位でユニットバス交換のスケジュールを組んでおけば、突発的な出費に慌てることもなくなります。
設備投資は「コスト」ではなく「空室期間を短縮するための先行投資」だと捉え直すことが、経営判断の分かれ目になります。
あわせて、ネット無料化やスマートロックなど比較的低コストで導入できる設備と組み合わせることで、限られた予算の中でも入居希望者への訴求力を高めることができます。ユニットバス交換のタイミングに他の設備更新もまとめて検討すると、工事の手間や入居者への説明も一度で済み、効率的です。
具体アクション:今日からできる3つのこと
難しく考える必要はありません。まずは次の3つから始めてみてください。
1つ目は、所有物件のユニットバスの設置年をリスト化することです。図面や過去のリフォーム履歴が手元になければ、管理会社に確認するだけでも構いません。
2つ目は、直近1年間に入った水回り関連のクレーム・問い合わせを洗い出すことです。同じ部屋で複数回連絡が来ている場合は、応急処置の限界が近いサインです。
3つ目は、信頼できる水回り業者に一度、簡易点検を依頼することです。見積もりだけでも取っておけば、いざという時の判断材料になります。
これらはどれも今日中に着手できることばかりです。大掛かりな工事の前に、まずは「現状を正しく知る」という一歩を踏み出すことが、長期的な空室リスクの回避につながります。
まとめ:小さな一歩が、大きな空室リスクを防ぎます
ユニットバスの老朽化は、放っておいても自然に治ることはありません。むしろ時間が経つほど、修繕費用も空室のリスクも大きくなっていきます。私自身、現場で数多くの物件を見てきた経験から言えるのは、「早めの一手」が結果的に一番コストを抑えるということです。
まずは自分の物件の状態を知ることから始めてみませんか。設備の状態や交換のタイミング、費用の目安について、専門家の視点から一緒に整理させていただきます。お困りごと相談はこちらからお気軽にどうぞ。
