残置物を勝手に処分したら法令違反。
そんなことは不動産に関わる人なら知っている人も多い。
でも、実際に携わってみると大家が困るだけの困った法律だ。
解約申込書面を本人が提出し1か月後の解約を正式に申し入れ。
立会時間の調整などで連絡を入れるも一切連絡が取れない。ちょっと危険だと思いながらも立会予定日に現地へ行ってみると来ない。やっぱりか。
室内で亡くなっている可能性もあるので安否確認のため、警察、所有者と一緒に入室。
結果として夜逃げしたような状態。
何があったのは分かりませんが病気で入院していたり、思わぬ事故に巻き込まれて連絡が取れない可能性だってある。
様々な可能性がある中で残置物から予想する。
電気・ガス・水道は未払いを理由に停止されている。
あらゆる督促状が散乱。
氷点下になる季節のため給湯器が凍結して破損。漏水も発生して建物に被害も。
室内は生ゴミもゴミ袋に入ったままなので悪臭とカビが発生。
これはもう建物保全のために残置物の強制処分が妥当だと思います。
だけど、法律的には勝手に処分してはいけない。
こんな状態で何もできないなんてちょっと無理があります。
整理してみます。
本人自身が書面で解約を申し入れ。
ライフラインはすべて1ヶ月前には停止。
凍結による被害が発生。
室内は善管注意義務違反による建物被害も見受けられる。
これで建物保全ができないなんて法律に問題があるとしか言えません。
たしかに一部の悪質な不動産会社が法律の抜け道を利用して消費者に無理な対応をするケースがあるのは知っている。
でも、それは入居者が明らかに生活継続を望む場合においても無理な明け渡しが原因。抑制する方法はいろいろあるはず。
入居者本人に契約継続の意思がまったく感じられない今回のケースにおいても同様の法律を適用するのはおかしいのです。
さらに契約者本人にとって最悪なのは莫大な費用を請求されること。
明け渡しをしない場合。経過日数に対して倍額の家賃分が違約金となります。
仮に明渡訴訟を提起して3ヶ月後に明渡が完了した場合。6ヶ月分の家賃を請求されます。
さらに断行費用。残置物保管場所の費用。処分費用。まさに莫大な費用が請求されます。
これって本人のためにも建物所有者のためにもならない。非常に困った法律です。
少なくとも今回のケースのような場合には一定の要件を設けて対応できるようにすべし。
理由は勝手に処分して訴えられた方が建物所有者にとって有益だから。
こんなアホは話はありません。
勝手に処分して訴えられた場合。
所有者がとった保全措置は有効と判断されることが多い。
契約者の理不尽な主張による慰謝料的要素が多分に含まれる費用請求は棄却される。例として精神的な苦痛に対する費用請求など。
最終的には10万円ほどの実費支払いのみで判決されることも多い。
法的措置でかかった費用は契約者から回収できないケースがほとんどなので家賃3ヶ月~6ヶ月の逸失賃料発生。
所有者としては30万円~60万円は軽く超える損害が発生するので逆に訴えられた方が費用的負担は少ない現実がある。
ちなみに裁判所の相談窓口に予約して上記のようなケースを相談したことがあります。
勝手に処分することは法的にはダメですが勝手に処分して仮に訴えられても支払う金額は微々たるものです。
これホントです。
権利関係については金額の大小ではない!そんな声も聞こえてきますが実際にはお金の問題になります。
日本は法律を犯してはいけない気持ちが強すぎて法律自体の問題に焦点を当てない問題に気づいていません。
外国では現実と整合しない法律はどんどん国民から指摘され修正されます。
日本の良いところはたくさんありますがダメな部分もたくさんある。
そんなことを感じたのでブログに書いてみました。
いろいろな意見があると思いますが議論は必要だと思います。
今回はここまで。
ではまた^^
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